概要
巨細胞性動脈炎は、大動脈やその主要な枝に起こる肉芽腫性の動脈炎です。頭蓋内の側頭動脈に炎症が起こることが多いため、以前は側頭動脈炎と呼ばれていました。しかし、実際には側頭動脈以外の部位にも起こります。世代別に見ると、男女ともに50歳以上の患者さまが中心です。
症状
主な全身症状としては、何となく体調が優れず、倦怠感を覚えます。食欲が低下し、体重も減少します。発熱に関して言うと、殆どの患者さまは微熱なのですが、39℃を超える高熱が出ることもあります。多くの場合、片側の側頭部がズッキンズッキンと脈を打つように痛みます。夜間に悪化することが多く、安眠が妨げられたりします。痛みは強まったり、弱まったりを繰り返しますが、段々と痛みの程度が強くなるので、早めに治療を開始するようお勧めいたします。
診断
巨細胞性動脈炎は、1990年にアメリカリウマチ学会で発表された分類方法が基準となります。具体的には、以下の5項目のうち、3項目以上が認められる場合に診断します。
- 1:50歳以上で発症
- 2:初めて経験する、あるいは経験したことのない局所性の頭痛が起こった
- 3:頸動脈の動脈硬化と関係ない側頭動脈に沿って圧痛や脈拍の減弱が認められる。
- 4:赤沈値が50㎜/h以上ある。
- 5:単核細胞の浸潤や肉芽腫性の炎症が顕著であり、通常巨細胞を伴う血管炎の所見が認められる。